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西宮(にしみや)遺跡 【八ッ場ダム関連】

令和元年5月
火打箱
火打箱は、家屋内で火をつける際に使用された火打具を納めた木製の箱です。写真の火打箱は、現在整理を進めている西宮遺跡から出土したものです。出土した時は、天明三年(1783)の浅間山噴火に伴う泥流に押された勢いで裏返しの状態でしたが、ひっくり返すと、蓋のない部分には火打石、付け木が入った状態でした(写真1)。また、二つに仕切られた狭い部分は蓋が閉まった状態で、その中には火口(ほくち)が残っていました。更に、火打箱の直下からは火打金も見つかっています(写真2)。この火打箱は、火打金、火打石、火口、付け木という火打に必要なものすべてが入った状態で出土していたのです。
火打具が完全セットで出土すること自体が極めて珍しいことですが、天明三年の浅間山噴火以前まで使用されていた火打箱である点も重要です。今後は、民具資料との比較検討を行うと共に、火打石石材の産出地を探っていきたいと考えています。
5月 西宮遺跡 写真1
5月 西宮遺跡 写真2