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金井下新田(かないしもしんでん)遺跡

平成30年11月 調査
調査場所
渋川市金井字下新田1643番地1他内
調査期間
平成30年11月1日~平成31年3月31日
調査原因
平成30 年度一般国道17号(渋川西バイパス)建設事業に伴う埋蔵文化財調査
委託者
国土交通省
主な時代
縄文・弥生・古墳・古代・中近世
遺跡の内容
金井下新田遺跡は、平成26年度から調査が実施され、現在までに古墳時代を中心とした多種多様な遺構が見つかっています。中でも、古墳時代の「囲い状遺構」と呼ばれる網代垣(あじろがき)で囲われた遺構をはじめ、火砕流で覆われた竪穴建物内の中からは、人骨や馬骨などが出土し、隣接する金井東裏遺跡で発見された「甲を着た古墳人」とともに全国から注目されている遺跡です。
今年度の調査は、これらの遺構が発見された調査区から、県道渋川東吾妻線を挟んだ西側に位置するため、これまでに発見された古墳時代の貴重な遺構と関係する施設が見つかる可能性があります。調査は11月から実施し、表土を除去したHr-FP(6世紀中頃榛名山二ツ岳噴出の軽石層)上面の調査を行いました。調査区北側部分は、後世の削平による影響を大きく受けており、すでに失われた遺構も多いかもしれません。遺構の多くは、南側に緩やかに落ち込む縁辺部に集中して見つかっています。また遺構は、確認された自然流路に沿う状態で、土坑や溝を確認しました。土坑や溝からは、時期を判断できる資料は見つかっていませんが、周辺で中国銭や天保通宝、陶磁器片などが出土していることから、中世から近世に帰属する遺構と考えられます。調査区西側を流れる流路からは、砂鉄や多量の流動滓(りゅうどうさい)などの鉄滓(てっさい)が出土しています。遺跡の南東方向には古代の金井製鉄遺跡が存在することから、調査区外の西側斜面部には同時期の製鉄関連の施設が存在する可能性が高いと考えられます。12月はHr-FP下面の調査を行っていきます。
連絡先
金井下新田遺跡調査事務所 090-5490-1699
写真1 1面全景
写真2 1面南側遺構集中部