群馬県で初めて、弥生時代の住居から銅鏡が出土
長谷津遺跡は安中市西上磯部、JR信越線磯部駅南側の丘陵上にある弥生時代後期の集落遺跡で、平成21年度に発掘調査が行われました。その中の1軒の竪穴住居(3世紀前半)から青銅鏡が出土し、検討の結果、中国前漢時代の鏡を模して北部九州などで製作した小形仿製鏡(こがたほうせいきょう)であることがわかりました。
この鏡は直径約6cm、縁部の厚さ2.4㎜です。住居壁際の埋没土上層から出土しましたが、残念ながら完全な形ではなく、鏡の中央部分を欠く全体の1/4ほどの破片です。鏡の特徴として鋳崩れ(いくずれ:何度も使って減った鋳型で作ったため文様がはっきりしない状態)が見られ、あまり明瞭でありませんが、内向きの弧線を連続して描く連弧文鏡(れんこもんきょう)であることがわかります。外縁部の断面形が薄いカマボコ形をしていて、中国前漢代の鏡の特徴を残しています。ただし、前漢鏡では外縁部の内側に細かな櫛歯(くしば)のような模様を付けることが多いのですが、この鏡では三角形のギザギザ模様を連続してつなげる鋸歯文(きょしもん)のように見えます。鏡の文様として鋸歯文は中国後漢代以降の図柄です。つまり、中国前漢代の鏡をモデルに後漢代の特徴を付け加えて日本(北部九州説が有力)もしくは朝鮮半島で製作した小形仿製鏡(こがたほうせいきょう)と考えられます。それが弥生時代後期に長谷津遺跡に運ばれたものであり、群馬県では初めての発見例です。
弥生時代の鏡は北部九州では有力者の宝器として墓に副葬され、近畿以東ではムラの共同祭器として使われましたが、長谷津遺跡の例は西日本か朝鮮半島で製作された鏡を入手した後、重要な祭りのシンボルとしてムラの中で保持していたと考えられます。
この鏡については、平成24年1月27日(金)~29日(日)の3日間、県庁県民ホールで行う
「群馬・埼玉考古展2012」(入場無料)で一般公開いたしますので、ぜひお出かけ下さい。