群馬の遺跡・出土品整理遺跡の最新情報
今月のトピック遺跡紹介平成22年6月
東宮(ひがしみや)遺跡【八ッ場ダム関連】
浅間山泥流下から出土した江戸時代の行灯(あんどん)
天明三年(1783年)の浅間山大噴火に伴う泥流で被災した東宮遺跡からは、多くの偶然が重なった結果、通常では朽ちて消滅してしまうような木製品が数多く出土しています。それらは、220年以上も地中に埋もれていたとは思えないような残りの良いものばかりです。
それらの中には用途のわからない木製品もありますが、整理作業が進む中で、その一部が組み上がり道具類となることが確認できました。ここで紹介する行灯(あんどん)も、その中のひとつです。底板のない台形状の箱を土台に、4本の細い棒状の柱が四隅に打ち込まれるように立ちます。4本の柱の上には、持ち運べるように把手が付いていたかもしれません。土台天板の中央には幅1㎝、長さ2㎝ほどの孔(あな)があり、そこに灯明皿を受ける部分が接合します。十字に組んだ部分に灯明皿を載せていたのでしょう。各所には木釘が打ち込まれ、固定されていたことも確認できます。
土台の天板には、灯明皿に注いだ油がこぼれた跡でしょうか、明瞭な痕跡までもが残っていました。東宮遺跡から出土する遺物は、捨てられ地中に埋もれたものではありません。不幸にも被災したことで、当時使われていた痕跡をそのまま残しているのです。そう言った意味でも大変貴重な遺物の数々だと考えています。1783年8月5日、その日まで使われていた行灯を現代の私たちが目の当たりにできるとは、何とも驚くべきことです。

写真1 行灯が出土した1号建物の床

写真2 出土した行灯
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