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群馬の遺跡・出土品整理遺跡の最新情報

今月のトピック遺跡紹介平成21年9月
上泉唐ノ堀(かみいずみからのほり)遺跡【国道17号(上武道路)関連】
円盤形の石製品 =旧石器時代(約2万7千年前)=
上泉唐ノ堀遺跡は、前橋市の上泉町にあります。上毛電鉄・赤坂駅の北東約1kmの場所です。この遺跡では、旧石器時代(約2.7万年前)の石器が約2000点見つかりました。そのなかに円盤形の石製品(写真1)が1点含まれていました。
直径約50mm・厚さ約5mmの円盤形で、全体的に灰~黒色を呈する中に、銀色に輝く小さな部分が数多く認められます。そのきらりと輝く銀色がひときわ目を引きます。ナイフ形石器や石斧といった一般的な石器類とは異なる石質をもっていて、かなり粗粒でやや軟弱な石です。その石の質からすると、狩りの道具といったような実用的な用途に用いられたとは考えられません。その他の何らかの目的のために旧石器人が持ち込んだ可能性があります。
この石製品は、岩石学的には「結晶片岩」といわれる石材でできています。現在、観賞用の庭石などに多く用いられている「三波石」の一種です。この産出地は限られていて、群馬県西部の多野地域のものと考えられます。付近を流れる三波川、雄川、鮎川、鏑川などに多く認められます。実際に河床礫を調べてみると(写真2)、この円盤形石製品と似た形の川原石が稀に存在することがわかりました。円盤形という特殊な形を有するからといって、それを旧石器人が加工したものと一概に決めつけることはできないわけです。川原石をそのまま持ち込んだ可能性も考えられます。
「結晶片岩」は多野地域に産出する限定された石材であることから、上泉唐ノ堀遺跡がある赤城山南麓地域に自然の状態で混入したとは考えにくいのです。そういった意味から、今のところ旧石器人が何らかの意志をもって遺跡に持ち込んだ「遺物」と判断しています。しかし、人が加工したと明確に判断できる痕跡がないならば、それは「遺物」として評価できないのではないか、という意見もあります。また、従来の地質学での見解とは異なった何らかの自然的な要因によって、結晶片岩が当該地域に混入したという考え方もあります。
日本の旧石器時代の遺跡では、実用的性格を備えた石器類が出土することが一般的です。当時の旧石器人が持ち込んだことを前提とすれば、この円盤形石製品のようなそれらとは異なった性格が予想される遺物は、全国的にみても非常に珍しいものです。旧石器人の生活の様子や社会のあり方を考える上で、新たなヒントを与えてくれる可能性があります。
この資料は、当事業団で開催される最新情報展第3期「三波石の考古学」(平成22年1月17日~5月2日)にて公開予定です。

円盤形の石製品

写真1 円盤形の石製品

鏑川での川原石調査

写真2 鏑川(高崎市・吉井町)での川原石調査

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