横川大林遺跡(よこかわおおばやしいせき)

  碓氷郡松井田町横川字大林にある。1989年から1991年にかけて上信越自動車道のサービスエリア建設に伴い松井田町遺跡調査会が発掘調査した。松井田丘陵中腹の南緩傾斜面に展開する。標高は460メートル±15メートルである。縄文時代早期の竪穴住居、土坑、集石からなる集落が主体をなし、ほかに縄文前期から後期までの遺構や遺物も見つかった複合遺跡である。早期前半では撚糸文系、押型文系、沈線文系の土器および撚糸文系の東山式土器を伴う住居などが5棟と土坑が6基、集石が見つかった。早期後半は鵜ケ島台式や絡条体圧痕文系土器、茅山下層式などの条痕文系土器とそれらを伴う土坑、集石炉などの遺構であり、特に土坑数は147基と非常に多い。両時期の遺構の分布状況をみると、前半期には小台地の裾部を占めているが、後半期には台地頂上部および傾斜面となり、明らかな違いがみられる。後半期の主体をなす土坑群は貯蔵穴とみられる円形基調の小土坑が大半であるが、焼土を伴う竈状張り出しのあるものや大型で平坦な底面のものなど、住居の可能性をもつ土坑も見つかった。早期の住居や絡条体圧痕文系土器は県内ではこれまでほとんど見つかっていない。また、黒曜石を中心とした小型石器の製作跡の石材分析では、信州産のほかに三浦半島産が含まれる結果となり当時の交易の広さを物語る。このように本遺跡は縄文時代早期の研究において多くの貴重な資料を提供した。出土遺物は松井田町教委に保管されている。〈田口修〉

[文献]
◇『横川大林遺跡』 松井田町遺跡調査会 1997

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