水沢廃寺(みずさわはいじ)

  北群馬郡伊香保町水沢にあり、標高580メートルの榛名山山裾に立地している。県道前橋・伊香保線と県道水沢・群馬線が交差する地点で、水沢観音から、約500メートル東にあたる。緩傾斜地を200メートルにわたって、約10段に削平しており、高低差は20メートルにもなる。特に注目されるのは3、4段平地にある建物で、礎石を伴っている。ほかの削平壇には今のところ礎石は認められていない。3段平地には、長径1メートルの礎石が4とそれより小さな石が2の合計6個あるが、建物の規模を読みとることはできない。礎石は柱間で510センチメートル間隔と規則的に配されており、唐尺17尺を基準とするものとみることができる。この礎石周辺から布目瓦が出土している。西側4段目とは4.2メートルの高低差を持ち、4段平地からみて高さ50センチメートルの土塁を築いている。4段平地には柱間2.4メートルの五間堂と推定される建物の礎石が数点ある。出土遺物は9世紀前半の上野国分寺式軒平瓦や10世紀代の須恵器甕、土師器台付甕、灰釉陶器片などが出土している。階段状に整地された寺院で、山岳仏教寺院としては県内でも珍しい場所にある。『神道集』の「伊香保大明神事」に記された水沢寺は、この水沢廃寺のことを記したものと考えられる。発掘調査が実施されていないため、寺の創建年代や遺跡の構造などは分かっていない。今後の学術調査が期待されている。〈大塚昌彦〉

[文献]
◇『伊香保町史』 伊香保町 1970

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