| 桧峯遺跡(ひのきみねいせき) |
| 前橋市上泉町字桧峯、五代町字檜峯にあり、赤城山南麓の舌状の台地上に立地する。1981年にグラウンド造成に伴って前橋市教委が発掘調査した。発掘調査範囲は約8000平方メートルで、奈良時代から平安時代の竪穴住居76、土坑2、掘立柱建物1、溝1が見つかり、遺物も土師器の坏、碗、甑、甕を中心に、須恵器、石製紡錘車、金銅製耳環などが出土した。この遺跡で特筆されるのは、62号住居から出土した口径4.3センチメートル、高さ5.3センチメートルの奈良三彩の小壷である。緑、白、褐色の3色の釉薬が塗り分けられ、発色がすばらしい。三彩をはじめとした彩釉陶器の多くは、祭祀跡など特殊な遺跡から発見される例が多く、一般の住居からの発見は非常に少ない。近くに官衙や祭祀跡などが発見されていない本遺跡から奈良三彩小壷が出土したことは非常に珍しいことといえる。なお、同じ62号住居には住居のほぼ中央に50センチメートル×40センチメートルほどの上面が平坦な石が据えられ、鉄製の匙状品や「宅」と墨書された土師器の坏も出土している。三彩小壷と62号住居出土遺物一括は1986年に市の重要文化財に指定された。出土遺物は前橋市教委に保管されている。〈中澤充裕〉 |
| [文献] ◇『桧峯遺跡』 前橋市教委 1982 ◇中澤充裕「群馬県前橋市桧峯遺跡の奈良三彩小壷」『考古学雑誌』68-4 1983 |