櫃石(ひついし)

  勢多郡宮城村三夜沢にある。赤城山荒山と三夜沢赤城神社を結ぶ線上、標高877.9メートルのところに位置する。長径4.7メートル、短径2.7メートル、高さ2.8メートル、周囲12.2メートルほどの、南北に長い巨大な自然石を中心に手捏土器や石製模造品、玉類が出土する遺跡である。安永6(1777)年の『山吹日記』にも記されており、古くから祭祀跡として注目されていた。周辺の遺物は南側を中心に江戸時代から採集されてきた。出土遺物には、国の重要美術品に指定されていた長さ7センチメートル以上もある翡翠製の勾玉をはじめ、5世紀後半から6世紀前半のころの手捏土器、100点を超える剣形をはじめとする石製模造品、玉類があり、このころから祭祀の対象となっていたようである。櫃石の近くに集落遺跡は発見されておらず、赤城山南麓を中心とした広い地域から信仰を受けていたと考えられる。巨石を対象にした磐座信仰は全国的にも希少で、1963年に県指定史跡になっている。出土遺物は赤城神社ほかに保管されている。〈細野高伯〉

[文献]
◇井上唯雄「赤城山櫃石と群馬の祭祀遺跡」『群馬文化』192 1977

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