柴崎熊野前遺跡(しばさきくまのまえいせき)

  高崎市柴崎町にあり、井野川右岸の河岸段丘上に立地する。1996年に高崎高等養護学校建設に伴って県埋文事業団が発掘調査した。江戸時代の畑、中世の屋敷の区画溝、平安時代の竪穴住居や水田などが調査されている。また、旧河道から古墳時代前期を中心とした多くの遺物が出土している。主な遺物は、土師器約100点、滑石製の管玉、勾玉やその剥片、未成品約300点、木製品1点である。特に注目すべき遺物は、木製の農具と考えられる「大足」である。大足は湿田などで使用される田下駄の一種であり、足に履いて肥料とする草根などを鋤き込む農具である。片方のみの出土ではあるが、これにより古墳時代においてこの遺跡周辺に水田が存在した可能性がうかがえる。また、上記勾玉や管玉とその未成品からは、玉類の工房の存在も想定される。中世と考えられる面からは古代中国「新」王朝の銅銭である「貨泉」が発見されている。出土遺物は県埋文センターに保管されている。〈廣津英一〉

[文献]
◇『柴崎熊野前遺跡』 県埋文事業団 1998

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