| 萱野遺跡(かやのいせき) |
| 前橋市江木町にあり、赤城山南麓傾斜地最下部の沖積谷に挟まれた幅200メートルから300メートルの台地上に位置する。1985年に住宅団地造成に伴って前橋萱野住宅団地遺跡調査団が発掘調査し、縄文時代および古墳時代から平安時代の集落、後期古墳などが見つかった。縄文時代では竪穴住居が2棟調査された。B5号竪穴住居は小型の円形竪穴住居で石組炉の周囲より縄文中期後半加曽利E3式期の土器が多量に出土している。古墳時代では前期4棟、中期43棟の竪穴住居が見つかっている。古墳前期の竪穴住居は退化傾向のあるS字状口縁甕や新しい特徴をもつ小型坩も伴っており、古墳時代前期でも新しい傾向が認められる。古墳時代中期には台地の東南傾斜地に40棟からなる密集した竪穴住居群が形成される。これら竪穴住居は、中期の和泉式土器を伴い、質、量ともに恵まれた一括土器も目立っている。台付甕など石田川式期の特徴が姿を消し、高坏や坩類が器種構成の主体を占めながら、一方では後期段階の特徴である定形化した坏類をほとんど見ない。集落が和泉式期の定形化した段階の短時期に営まれたことによるものと思われる。中期の竪穴住居から鉄斧の欠損品が1点が出土している。着柄部が袋状の鉄斧であるが、住居出土品としては県内では最も古い例となるだろう。鋸の半欠品が竪穴住居から1点出土しているが、中期の可能性が高くこれも県内最古例であろう。出土遺物は県埋文センターに保管されている。〈佐藤明人〉 |
| [文献] ◇『萱野遺跡・下田中遺跡・矢場遺跡』 群馬県企業局 1991 |