上之手八王子遺跡(かみのてはちおうじいせき)

  佐波郡玉村町上之手にあり、前橋台地の南端部に立地する。1988年に住宅団地造成に伴って県企業局が4万平方メートルを発掘調査した。古墳時代では前期の竪穴住居21、方形周溝状遺構などが見つかった。竪穴住居のうち5棟は1辺10メートルの「コ」の字状の溝をめぐらせており、さらにうち2棟は2重の溝をもつ。それぞれの溝は連結して南東に向かって延びている。このような溝は雨水などの排水施設と考えられ、静岡県浜松市大平遺跡など東海地方東部に分布しているが県内での類例は非常に少ない。これらの住居からはS字状口縁台付甕を伴う、いわゆる石田川式土器が出土している。奈良時代から平安時代にかけては竪穴住居180、掘立柱建物、井戸、土坑、溝が見つかり、墨書土器、紡錘車などが出土した。遺構を住居や溝などがつくられる時期、大規模な溝が南北に横断する時期、それ以後の時期に3区分することにより、水田と居住域を区画する防風林があった可能性のある時期、水田が拡大した時期、竪穴住居数が減少し、水田の縮小した時期へと変遷が考えられる。また、出土遺物の編年を試みているが、その様相は県央部のものと類似している。周辺には上之手石塚遺跡、行人塚遺跡があり、大規模な集落が広がっていたと考えられる。ほかにはAs-Bで覆われた平安末期の水田、近世以降の溝などが見つかった。出土遺物は玉村町教委に保管されている。〈中島直樹〉

[文献]
◇『上之手八王子遺跡』 玉村町教委 1991

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