上之手石塚遺跡(かみのていしづかいせき)

  佐波郡玉村町上之手地区にあり、標高69メートルの微高地上に立地する。1989年から1990年にかけて、住宅地造成に伴って玉村町教委が発掘調査した。調査面積は約1万3000平方メートルで、古墳時代から中世までの複合遺跡である。主な遺構は、古墳時代の竪穴住居1、方形周溝墓1、奈良時代から平安時代にかけての竪穴住居112、掘立柱建物34、井戸45、土坑や溝多数などである。中世の館に伴うと考えられる溝もあり、南北2郭で構成され、周囲に2重の溝がめぐる形態の館があったと考えられる。本遺跡の東に隣接する新井屋敷の堀に続くと考えられる溝などもある。これらの溝の中からは、焼締陶器、軟質陶器、青磁などの破片が出土したが、溝以外に館に伴うと考えられる遺構がほとんどないため、詳細は分からない。発掘した竪穴住居の過半数からは、8世紀から9世紀の遺物が出土しており、本集落の最盛期を平安時代前期ごろととらえることができる。上之手行人塚遺跡や上之手石塚遺跡などの隣接する遺跡でも、同じころの遺物を伴う竪穴住居が比較的多く、本遺跡を含めた微高地上には大規模な律令期の集落があったことがうかがわれる。出土遺物は玉村町教委に保管されている。〈小田澤佳之〉

[文献]
◇『上之手石塚III遺跡』『上之手石塚IV遺跡』 玉村町教委 1993

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