一万田遺跡(いちまんだいせき)

  佐波郡玉村町福島地区にある。利根川北岸の微高地上に立地し、標高約66メートルの所にある。1991年から1992年にかけて、工場建設に伴って玉村町遺跡調査会が約2500平方メートルを発掘調査した。遺構は弥生時代の土坑1、律令期の竪穴住居8、掘立柱建物2、柵列5、井戸2、土坑や溝などである。注目されるのは、北を除く3方を区画する柵列と、区画内にある井戸である。柵列は直径1メートルほどの柱穴が約3メートル間隔で配列されたもので、東西約45メートル、南北約24メートルの範囲を区画し、全体としてさらに北に延びるものと推定される。また、西側の柵列がさらに南に続くことから南東方向への広がりも考えられる。南東部にある2号井戸は、1辺が約1メートルの方形の平面形で、内枠約70センチメートルの木組み枠が設置された状態で見つかった。井戸の外側四隅に柱穴と思われる遺構も確認されており、上屋構造があった可能性もある。また、井戸内からは「舎」と書かれた墨書土器も出土した。時期的には出土遺物などから平安時代前半ごろと考えられ、律令制の那波郡の公的施設(役所など)やこれに準じる豪族の館の可能性が高い。しかし、本遺跡を公的施設として積極的に肯定するだけの遺構がそろっているとはいいがたく、今後北側を含む周辺地域の調査によるデータの蓄積が待たれる。出土遺物は玉村町教委に保管されている。〈小田澤佳之〉

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