有笠山遺跡(ありかさやまいせき)

  吾妻郡中之条町上沢渡字牧場にあり、有笠山(標高884メートル)の南面岩壁の中腹上位に立地する。間口約20メートル、奥行約12メートル、高さ約15メートルの岩陰遺跡である。1953年に群馬大学が発掘調査し、弥生時代中期後半の竜見町式期の住居状遺構が3カ所で見つかった。遺構は奥から開口部に向かう傾斜面の中の平坦面に、天井部からの落石を避けて構築され、中央部に炉あるいは竈が設置されていた。焼土や灰が残っており、共伴して出土した土器や磨製石斧などの石器、シカやイノシシなどの焼けた獣骨片があることなどから、ある期間、本岩陰内において人間の生活があったものと考えられる。しかし、それは日常の生活とは性格が異なるものと推定されている。近年、本遺跡の下方で小洞窟遺跡が発見されたことにより、前述の遺跡を有笠山1号洞窟遺跡とし、小洞窟を有笠山2号洞窟遺跡と呼ぶ。2号洞窟遺跡は開口部の上下1.0メートル、左右0.8メートル、内部は幅2.3メートル、奥行1.8メートル、高さ1.25メートルの規模である。弥生時代中期もしくは前半の土器、大量の焼人骨とともに、穿孔の施されたヒトの指骨が4点発見された。貝製垂飾や軽石製玉も出土しており、利根郡月夜野町の八束脛洞窟遺跡の状況とよく似ている。しかし、穿孔人骨が火熱を受けているなどの相違点もある。再葬墓の墓制の中に位置づけるべき遺跡であると考えられる。この有笠山一帯は弥生時代中期を中心とした墓を含む各種の遺構がある地域として注目される。出土遺物は群馬大学(有笠山遺跡・有笠山1号洞窟遺跡)、中之条町教委(有笠山2号洞窟遺跡)に保管されている。〈飯島義雄〉

[文献]
◇『群馬県史』資料編2 1986
◇『有笠山2号洞窟遺跡』 中之条町教委 1997

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