天引向原遺跡(あまびきむかいはらいせき)

  甘楽郡甘楽町天引にある。鏑川右岸の河岸段丘が小河川によって区切られた舌状の台地上に立地する。1989年から1991年にかけて、上信越自動車道建設に伴って県埋文事業団が発掘調査した。旧石器時代から近世に至る複合遺跡である。旧石器時代の調査では、ATの下から、ナイフ形石器や台形様石器を伴う石器群が出土した。隣接する白倉下原遺跡、天引狐崎遺跡とともに、鏑川流域の旧石器時代の様相を初めて明らかにした。また、古墳時代の調査では、多数の竪穴住居とともに、大規模な粘土採掘坑が発見された。採掘坑内からは、6世紀代の土師器とともに曲物や梯子などが出土している。平安時代の調査では、9世紀代の小規模な寺院が発見されている。このほか注目される遺物としては、古墳時代前期の竪穴住居から出土した小型倣製珠文鏡や、平安時代の鉄鐸などがあげられる。出土遺物は県埋文センターに保管されている。〈関口美枝〉

[文献]
◇『白倉下原・天引向原遺跡』I・II・III 県埋文事業団 1994

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