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西宮(にしみや)遺跡

平成29年8月 調査
調査場所
吾妻郡長野原町川原畑地内
調査期間
平成29年4月1日~平成29年12月31日
調査原因
八ッ場ダム建設工事に伴う埋蔵文化財の発掘調査
委託者
国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所
主な時代
縄文・中世・近世
遺跡の内容
8月は6区・7区で天明泥流下の調査を実施しました。両地区とも複数の屋敷が見つかっていますが、この地区は土壌中に水を多く含んでいるため、木製品をはじめとする当時の生活用具がそのままの状態で残されています。
6区1号建物では、根太(ねだ)や大引き(おおきび)などの基礎部材や床板が数多く残存し(写真1)、陶磁器の碗、箸(はし)、漆椀の入った竹製籠(かご)、鉄鍋など当時使用していた生活道具がまとまった状態で出土しました(写真2)。また、織機の部品である筬(おさ)や経巻具(たてまきぐ)などもみつかっています。1号建物の規模は、間口7間、奥行き4間の東西棟で、南側の玄関から入ると土間の西側に馬屋があり、東側の板の間には囲炉裏が2カ所ありました。建物の北西部に設置されていた唐臼(からうす)の支柱は残っていましたが、石臼は天明泥流被災後に抜き取られていました(写真3)。1号建物の東側に位置する2号建物(写真4)でも同じように石臼がなかったことから、天明泥流の堆積で倒壊した建物から必要なものを掘り出していたと考えられます。
6区北側の7区も表土掘削を実施し、天明泥流下から石垣や水路などで区画された屋敷が複数確認されています。

連絡先
八ッ場ダム調査事務所 0279-76-8040
写真1 6区1号建物 木材等出土状況(南から)
写真2 6区1号建物 遺物出土状況(東から)
写真3 6区1号建物 唐臼調査風景(西から)
写真4 6区2号建物 遺物調査風景(西から)